開園前は見えなかった作業のあれこれ

当農園は、非農家から2024年の6月に開園しました。開園までの数年間は、たくさんの学びの場で、ブルーベリー栽培・経営について、自分なりにできる限りの知識を集めてきたつもりでした。
そして開園から約半年―。実際に自分が農業をしてきて、前もって対策や想定をする必要があったことがたくさん見えてきました。中にはやっておけばよかったということも…。特に最後の「配管の見直し」は盲点でした。そんな開園1年目の「リアル」をお届けします。

防草シートで草むしりから解放…?!

防草シート施工中の様子

当農園は、全面防草シートで覆ってあり、お客様にとってお足元が汚れないような工夫をしています。同時に、農家の厄介者とされる雑草の予防にも役立っています。

普段の靴で楽しめる農園です

実際、全面に敷いた防草シートのお陰で、お客様には普段の靴でご入場いただき、足元が汚れずにブルーベリー狩りを楽しんでいただくことができました。
さすが防草シート。雑草対策はバッチリです。広い農地の草むしりの作業から解放される、まさに一石二鳥♪

私たち
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しかし…!

シートの上には生えないけれども

雑草対策がバッチリなのは、防草シートの上のみ

ご覧の通り、ポット内のアクアフォームの中には、しっかりとした雑草たちが生えています…。
しかも、ちょうど液肥が流れる落ちる部分に生い茂っているのです。

私たち
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せっかくの栄養が雑草たちの養分になってる…。

さらに、ポットの下にも、雑草が生えてきました。ポット内に留まらない液肥は、当然ポットの下からしみ出てきます。液肥の養分を求めて生えているのでしょう。

また、防草シートのピンの隙間からも雑草が生えています。なんという生命力。1mmにも満たない小さな隙間からもたくましい雑草たちがどんどん生えてきてしまいました。

私たち
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ここまで雑草がたくましいとは…

草をむしろう

ブルーベリーのポットの中に生えているので、もちろん除草剤も使えません
当然ながら刈払い機も使えません。地道に草を抜いていくしかなさそうです。

私たち
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さて、むしるか。

草をむしると、根と一緒にアクアフォームもすっぽりと抜けてしまいました。しかもかなりの量が一緒に抜けてしまいました。
このまま草と一緒に処分しちゃうと、アクアフォームもどんどんなくなってしまう…。

私たち
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これも想定外。

開園前は、園全体に防草シートを張れば、「厄介な雑草たちから解放される!雑草対策はゼロ!」とすら思っていました。

ところが、実際に運営してみると、思った以上に雑草対策が必要…。
当初の事業計画には「草むしり作業」にかける時間は、当然ながら入っていません。特にポット内と下部の雑草対策が、思わぬ誤算でした。

私たち
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その対策として、ボット内にマルチとしてウッドチップを敷いている同業の方もいらっしゃいますね。

オープン前の準備

今年度の開園時刻は午前9時でした。さて、毎回の開園時刻までの準備時間はどのくらいかかると思いますか?

1時間くらいですか?

解答の前に、当農園の開園準備を紹介します。

  • 農園全体の掃き掃除(想像以上にブルーベリーが落ちてます)
  • 3つのパラソルを開く
  • 日よけテント展開
  • ベンチとテーブル拭き上げ
  • シンボルカーの装飾
  • 受付の設営
  • 備品の設置
  • ブルーベリーのチェック
  • イラガなどの虫チェック
  • 養液システムチェック
  • レジ設定
  • ・・・

これら全部をお客様がいらっしゃる前に急ピッチで行います。この中でも特に、園内の掃き掃除が想定以上に時間がかかりました。
ポットの周りにはブルーベリーの実が落ちていて、それらをほうきで集め、園内をきれいにします。品種によって旬の時期が違っているとはいえ、広い園内全体を掃き掃除するのはかなりの重労働でした。

私たち
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1~2時間くらいかけて、開園準備をしています。

加えて、当農園は「建物」がありません。そのため、受付などの設備を毎回出し入れしていました。これが地味に労力がかかります。なぜそんなことをしているかというと、現在借りている農地には、建物を建てることができないためでした。

私たち
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なんとか、「建物」を建てられないかなぁ。

改めて「建物」の必要性を感じています。何か良いアイデアをおもちの方、教えてください~。

天気予報とにらめっこ

ブルーベリーは、雨に弱い品種もあります。雨に打たれると、割れてしまったり落ちてしまったりします。事前に「知識」として、学んでいましたが、実際は想像以上の悩みでした。

例えば、雨の予報の次の日にお客様を迎えする場合。
雨に弱い品種が多い時期は特に気を配ります。
雨で裂果しちゃうから、今実っているブルーベリーを収穫すれば出荷できる、けどお客様の分がなくなってしまう…、結局雨でダメになっちゃうなら、収穫?残す?どうしよう…。

私たち
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ものすごい悩みました。

雨だけでなく、強風、猛暑、天気の急変…など、これまで以上に天気予報を確認するようになりました。これもある程度は予想をしていましたが…。ここまでこまめに確認する必要があるとは、考えが甘かったです。

「農業」「天気」は切っても切り離せない関係にあることを改めて実感しました。

夏の剪定はいつ作業できる?

こちらは「冬剪定」

ブルーベリーの品質を保つのに必要な作業のひとつに「剪定」があります。
主にに行いますが、オープン期間中である「夏剪定作業」はいったいいつできるのでしょうか。

私たち
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お客様がいるときでも農作業できるかな?


開園前は、そんなことを考えていました。

実際は・・・

当農園は、お客様が癒しの空間でゆっくり過ごしてほしいというコンセプトがあります。そんな中で作業はできませんよね。
今シーズンは、最終開園日を過ぎてから、夏剪定を行いました。

配管の見直し

改善前の状態。見た目はすっきり…ですが

自動かん水システムの配管位置を見直しました。

配管は、液肥混入機から主配管が伸び、さらに枝管に分かれ、各ポットへドリップピンを刺しているという配置になっています。
枝管は、ポットの真横を通っていいるなら左右関係なく大丈夫だろうと、安易に考え、見た目を重視した統一感のみで配管していました。

ところが、この配管が大失敗。どんなことが起きたかというと…。

雨が降るたびに、枝管がポットから離れていってしまうのです。どうしてこうなるのか最初は分からなかったのですが、どうやら「水」の影響だということが分かりました。それに合わせてドリップピンは伸びきってしまい、だらんとした枝管は見た目にもよくありません。

実は、農地にわずかな傾斜があり、水が南から北へと流れていたのです。その傾斜からくる水の流れをまったく考えていなかったため、雨が降るたびに枝管は水の流れる力でポットから離れていってしまいました。
その結果、ドリップピンが伸びきってしまうという現象がそこら中で起きました。中には、その力でピンが抜けてしまったポットもあり、対策が必要だったのです。

私たち
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何か所か「押さえピン」で留めてましたが、あまり効果がなかったです。

そこで、オフシーズンを利用し、水の流れの影響がでないよう全ての枝管を図のように改善しました。こうすれば、枝管が常にポットに接しているため、課題の解決ができました。

これも施工してから気が付いたこと。最初からこの傾斜の影響を知っていれば、このような余計な作業はなかったでしょう。

また、排水対策として、整地の段階で暗渠あんきょ配水」設備を整えておくとよかったと痛感しています。農園の周りには溝を掘って明渠めいきょ排水は整えましたが、水の影響はいろいろな場所で出てしまいました。

私たち
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「暗渠」や「明渠」という言葉も初めて知りました。

非農家から新規就農を目指す方へ

農業を始める前には気が付かなった作業のあれこれ。
これから非農家からブルーベリーで新規就農しようと考えていらっしゃる方々へ…。当農園の経験が、これから何らかのヒントとなればうれしいです。

  • 防草シートは有効。だけどそれ以外の場所雑草対策が必要。
  • ポットの中に雑草が生える。抜くとアクアフォームも一緒に取れてしまう
  • オープン前の準備はけっこうな時間と労力。想定以上に実が落ちている
  • 天気予報のチェックは必須。
  • お客様がいるときは作業できない
  • 配管は土地の傾斜からくる水の流れを考慮する。

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