事業計画の大幅見直しをするレベルの出来事が起きました。
私たちは真岡市独自の補助金を利用するため、毎日のように関係機関に問い合わせをしています。が、物事はすんなりといくほうのが少ないことを痛感しました。それでも毎回想定の範囲内でしたが、今回はさすがに参ってしまいました。
補助金の申請
私たちが、時間と労力をかけ、さらに県の担当者のアイデアによって、何とか認定新規就農を取得できた私たちです。どうしても認定を取得したかった理由のひとつに、市から補助金という形で支援を受けられることがあります。
その補助金申請のため、市の担当から言われたとおりの提出書類をそろえるよう、再び時間と労力をかけて動きました。具体的には、次のような書類です。
- 個人情報同意書
- 補助事業申請に関する申請書
- 交付申請書
- 事業計画書
- 補助金の対象となる資材・工事に関わる見積書(3社以上)
このうち、見積書を集めるのがものすごく大変でした。5か所のホームセンターや各種工事業者に連絡を入れ、2か月以上かかりましたが、何とか1月頭には提出することができました。
これでひと段落…
提出後も、見積書と申請書の金額が違う箇所があるなど、何度か確認の連絡が入りました。
同時に、日本政策金融公庫の融資の相談をJAの担当者とやりとりをしており、毎日、時間がいくらあっても足りないくらい慌ただしい日々を送っていました。
また、見積書も一括ではなく、項目を分けて出してほしいと言われました。具体的には、養液システムと農業資材とで項目を分けて、2枚の見積書にするよう指示があり、業者にお願いした、ということもありました。
中には、何度も見積もりを書き直してもらった業者さまもいました。
ご迷惑をお掛けしました…。
市の担当からは、工事や資材の発注は、補助金の交付が決定してからでないとダメです、と言われていたので、まずは決定を待つことにしました。
提出して3週間後…
それは、1月末の夕方のことです。担当課から連絡がありました。
もしかして、補助金の申請が受理されたのかな?
しかし、それはすぐに裏切られることになります。
補助金のことですが…。
年度内の3月中旬までに、施工完了とその支払い済ませないと
補助金の対象にはならないのですが、間に合いますか?
え…?!このこと、私たちに伝わってませんよ。
交付が決まらないと発注すらできないと言ってましたよね…?
まだ交付が決まってないのに、施工完了?支払いまで完了?
どうやっても間に合わないと思います…。
それと、見積書ですが、別々に取るのではなく、
「○○工事一式」と取るのが普通です。
取り直しでお願いします。
え…。普通って…?
見積もりの取り方に決まりがあるなら先に説明してください。
提出してから今まで時間ありましたよね。その間に見積もりの取り方が違うって言ってくれれば、すぐに対応できましたよ…。今からじゃ間に合いそうにありません。
それに支払いは年度内ということは要綱にも書いてないし、
その説明もなかったですよね。
よろしくお願いします。
今から年度内の3月中に工事から支払いまでの全てを終わらせる…?
このような内容の説明を急に、しかも申請してからだいぶ経ってから言われたのです。事前に書面でも口頭でも説明があったならまだしも、この段階で言われるのは…。
本当に参った…。
ちょちょちょちょ待って…
年度内は難しいですよね。であれば4月の申請となります。
4月の申請…。ということは、交付決定の通知が早くて4月中旬…。
それから資材と工事を発注するので、施工が始まるのは4月下旬から?
そうなると、日本政策金融公庫の融資の申請も4月中旬以降にしかできないし、融資が振り込まれるのが6月になってしまう…。
ちょっと待って…
苗はどうなるの?
決定してからの発注となると、
今季追加する予定の苗450株の
植え付けは5月?!
私たちは、遅れることは想定していましたが、ここまでずれ込むのは、さすがに想定外でした。
さて、どうしよう
2023年2月に農地をお借りすることが決まり、正式に契約したのが同じ年の11月です。そして、認定を取得したのは11月末でした。
私たちが、かなり早い時期から県や市と相談をしてきたのは、年度内に補助金の交付が間に合うようにするためです。それを目指し、ここまで頑張ってきたのに…衝撃の連絡でした。
何とかならないか…。
打開策を考えてみましょう。
施工期間と支払い期日をどうにか年度内に完了するまでの打開策はないか考えました。
施工期間については、業者に問い合わせたところ、「年度内にはなんとか間に合わせる」と回答を得ました。
しかし、支払期日について、JAを通して、日本政策金融公庫に問い合わせたところ…。
申し訳ありません…。
日本政策金融公庫から
もう年度内の融資枠の予算がない、と回答がありました。
この融資をもらうために、認定の取得をしてきた私たちにとって、これも想定外でした。さすがに、融資なしの自己資金では、限界があります。
どう考えても、申請は来年度か…。
次々と問題が
事業計画を見直す中で、問題が2つ出てきました。
ひとつ目の問題は、苗です。4月の植え付けで間に合うのか…。すぐに問い合わせてみました。
補助金申請はいろいろありますが、
ここまでの話は初めてです。
苗の植え付けは4月ならまだ間に合います!
よかったです。苗はなんとか間に合いそうです。ただ、植え付けが遅くなることで、生長と収量に影響がでてしまうかもとのことでした。
ふたつ目の問題は、新年度になってしまうことによる資材値段の高騰です。聞くと、4月から値上げされる資材もあるそうで、もう一度資金計画を練り直さなければなりません。
工事業者に状況を説明し、相談をしました。全ての業者が、そういう事情であれば値段を据え置きで頑張ってみます!と回答してくださいました。
皆さん、本当にありがとうございます。
事業計画の大幅見直し
こうなってしまった以上、事業計画を大幅に見直し、私たちができる範囲で進めていくことにしました。
まず、2023年度内の申請は諦め、2024年4月1日に補助金申請の提出を目指します。
そして、その後受理されたらすぐに発注し、施工開始。同時に融資の申請も行います。
当初描いていた事業計画では、この冬から春にかけてボットと養液システムの移設を考えていましたが、1か月先延ばしになってしまいました。
苗の植え付けも4月中になんとか完了し、栽培地からの引っ越し、養液システムの移設など、ブルーベリーのためにやるべきことが一気にきそうです。
怒涛の4月になりそうです。
この件について、農地関係で相談していた真岡市の農業士の方にも相談してみました。
それは、大変でしたね。
これからは新規就農者が困らないような仕組み作りが必要ですね。私からも市に話してみます。
もしかしたら、4月になったら新たに使える補助金があるかもしれないから、調べておきますね。
確かにそうですね。何事もポジティブに捉えていくことにします!
今回の学びを整理しましょう。
- 見積書の取り方に決まりがあった
- 補助金の対象は年度内に工事を終わらせ、支払いまで完了させなければならない
- 補助金と融資を併用して受ける場合、融資は補助金の交付が決まってからの申請となる
- 年度末は融資の予算がすでになくなっている場合もある
新規就農者にとっての未知の壁
私たちは、農業とは真逆の業界から、新規に就農し、これから農業に携わっていく身です。
栽培方法など、一生懸命学んできましたが、申請に関する細かい情報については、新規就農者の私たちにとっては未知の壁でした。
今回のように、補助金申請のために施工を年度内に完了させなければいけないことや見積書を工事一式でとらなければならないことなど、知らないことが多すぎました。勉強不足・情報収集不足といえばそれまでですが…。
後から相談した農業士の方からも、農業界では、見積もりの取り方は「当たり前」のことなんだそうです。
ということは、担当者は、見積もりの取り方、施工完了や支払い完了の件などは、当たり前すぎて説明をしなかったのかもしれません。
でも、新たに農業の世界に飛び込む新規就農者の中には、その「当たり前」が「当たり前ではない」という人のほうが多いのではないでしょうか。
どの業界もそうですが、新たに参入することとは、業界の当たり前を打開することで大きなイノベーションにつながる可能性がある反面、その「当たり前」が新規参入者にとって大きな壁になってしまうということを身に染みて学んだ私たちでした。
ちょっと愚痴っぽくなってしまいました。
次回はもっと明るい記事にしたいと思います。
コメント
毎回楽しく拝読していますが、この度は本当にお気の毒様です。読んでいて大分、辛くなりました。「ストロベリー」だったら対応は違っていたのではとは思わずにはいられないのが、ブルーベリー好きの僻みでしょうかね・・・
*ペペスさま*
ありがとうございます。本当に今回はダメージが大きかったです…。
新規就農へのハードルが高い原因はたくさんありますが、そのひとつがこういうことなんだなと痛感しました。
イチゴだったら違ったかもしれないですよね。
でもここで沈んでいても、仕方がない!と切り替え、今はスケジュールを組みなおしています。負けずに頑張ります!